ゴールデン・スランバー
黄金の微睡み
～～～研究条件～～～
アルマデル第八支部にて保管済み。自我も無く自律もしていない無機物である為、知識さえあれば自由に研究が可能である。
無機物型のカミサマ。その外観は趣味の悪い金色のリボルバーであり、装弾数は６発使用弾薬は、.44マグナム弾。.44スペシャル弾を装填する事が可能であり、拳銃として使用する場合は何の問題も無く使用する事が出来る。
実銃として使用する際は強力な反動と威力が特徴的であり、自動車のエンジンを撃ち抜く事も可能である。その威力は本来マグナム弾では発揮できない威力であり、対物ライフルや重機関銃と肩を並べてしまう規格外の威力を誇る。
しかし、このカミサマの異常性はその弾薬の力を相乗させる性質に留まらない。
このカミサマの本質は「引き金を引いた者が望む通りの結果をその弾丸と弾丸が放たれたことによる副作用によって物理的に可能な限り実現してしまう乱数操作」である。
６発全て弾薬を装填してロシアンルーレットを行っても絶対に弾丸が発射されない、拳銃の有効射程である10ｍをはるかに超えた超遠距離での狙撃もできてしまう、保有者が望むのであれば跳弾により弾丸は保有者の背後にすら飛ぶ。
～～～調査報酬～～～
Version.1：関係者の追憶を１上昇させる
Version.2：関係者の追憶を１上昇させる
Version.3：関係者の侵蝕を１上昇させる
Version.4：戦闘ライセンスの1つを射撃に変更可能。
Version.5：関係者の侵蝕を１上昇させる
【報告書】Version.1 01/0６
【調査員】白雪、大江楠美
【記録員】アルマデル第八支部3番小隊 小隊長 白 雪
アルマデル第八支部3番小隊 清掃班 大江 楠美
＿＿調査報告＿＿＿＿＿＿＿＿
調査:
gol-0991-USAは純金に似た性質を持つ未知の金属で造られた原始的な回転式拳銃です。
テストでは重量3.2kg、室温15℃風速0m/sの環境において表面温度が4℃であることが確認されています。
古典的な外見にも関わらず、gol-0991-USAは44口径マグナムを装填可能であり、またメンテナンスを全く要求しません。
実験
2021年01月05日、扁桃体を損傷した人間(17歳女性)がgol-0991-USAを使用した場合gol-0991-USAがどのような挙動を示すか観察するテストが行われました。
実験 003:
被験体であるアルマデル研究員『大江 楠美』は、標準的な保管室内に（厚さ10cmの合金に覆われた部屋）にgol-0991-USAと共に置かれました。
被験体はgol-0991-USAを右手で拾い、壁に向けて発砲しました。
弾はほぼ直角に跳弾し、天井に命中しました。
弾薬は消費されており、天井から採取された弾頭はシリンダー内に残存する弾薬と種類が一致しました。
また、シリンダー内の弾薬自体に特殊性は認められませんでした。
次に被験体は部屋の入り口に設置されている合金性の扉に向けて発砲しました。
扉に直径1.5cm、深さ8mm程度の損傷が発生しました。
その後、被験者は銃を自身の顎に突きつけ、５回引き金を引きました。
いずれも不発に終わりましたが、その後壁に向けて試射したところ、発砲が確認されました。
その際、被験者は『この銃には自我が存在するのではないでしょうか？』と発言しました。
実験責任者『白 雪 (Tsukumo Yuki)』が被験者に対し「扉の損傷を直せるか」と質問したところ、被験者は計４発を扉に向けて発砲しました。その後の調査によると鉛弾頭は完全に損傷箇所を塞いでおり、扉に強度的問題は確認されませんでした。
【報告書】Version,2 01/0６
【調査員】■■■
【記録員】アルマデル第八支部■■■■ ■■
＿＿調査報酬＿＿＿＿＿＿＿＿
主な研究と評価として、実射を行いました。
思うような威力や精度を持ち得るのは素晴らしいですが、支部外で発生した場合民間人の手などに渡ったらと思うと心配です。
【報告書】Version,3 01/15
【調査員】白雪、支倉百合子
【記録員】アルマデル第八支部3番小隊所属 清掃班 大江 楠美
＿＿調査報酬＿＿＿＿＿＿＿＿
被験体、アルマデル第八支部一般局員 『支倉 百合子』
*aは、標準的な保管室内にgol-0991-USAと共に置かれました。
対象はgol-0991-USA発見時、強い興奮状態に陥りました*b。
1分21秒後、アルマデル第八支部03番小隊に所属する研究員『 白 雪』(以下”研究員A”)は保管室内へ入室しました。
研究員Aは対象にgol-0991-USAに関する調査情報が記載されたファイルを手で渡しました。
被験体はファイルを14秒間閲覧した後、gol-0991-USAの銃口を研究員Aに向け脅迫*cしました。
脅迫の内容はアルマデル第八支部03番小隊 清掃班所属 大江 楠美の免責*dを要求するものでした。
研究員Aは説得を試みましたが、被験体はgol-0991-USAを起動。
弾丸は発射されず、被験体は研究員Aによりgol-0991-USAを奪取され、射殺*eされました。
考察 002:
gol-0991-USAを使用し任意の対象を脅迫する場合、使用者に殺意がなければ弾丸は発射されないものと考えられます。
*a 保管対象
*b 被験体は過去に銃によって頭部を損傷し死亡したと証言している
*c —音声記録—
被験体: く……くすみちゃんを、こ、これ以上苦しめないでください
被験体:あ、あなたが決定権をもっているんでしょ！だったら、今すぐ！ここで処分を決定してください！
研究員: あらあら……
研究員:楠美がどうされると思ったのかしら……言っておくけど、所詮隊長風情の私に、あの子の生殺与奪権はないわよ
研究員:どこかのお馬鹿さんが奴隷階級への降格もあるなんて言ったようだけど、上が許してもそれは組織分裂の不信感に繋がるだけだわ。単に悪手なのよ。……事態を重篤化させたくないのなら銃を下ろしてもらえるかしら
研究員: 楠美はね、望んでこの組織にいるの
研究員:そのレポートは、彼女が書いたものよ……協力的だったわ。あなたは無闇矢鱈に騒ぎ立て、それをだめにしてしまうつもりなのねえ？……違うなら、私が手取り足取り、教えてあげるわ。銃を渡して頂戴
(被検体のうめき声)
被験体:ごめんなさい！
(引き金を引く音が３回続く)
被験体:な、なんでっ！どうして！？
(研究員Aが被験体からをgol-0991-USA奪う音)
研究員A:楠美の時も、そうだった。…………人は殺せない可能性が、ないとも言い切れないわね
被験体:まっ…まって！
(銃声)
*d 能力を当局の許可なく使用したことに対する処罰
*e 被験体は脳を激しく損傷し、死亡が確認されている。
追記:
3時間2分後、研究員『大江 楠美』は研究員『白 雪』による管理の下、能力を使用。被験体と同一のDNA、及び記憶を有する有機体を生成した。生成物の健康状態は良好である。