~~~討伐条件~~~
それは決して食べることのできない1品のパスタ。
クリーミーだったりスパイシーだったり、香りや見た目はそれぞれ違っておいしそう。でも悲しいことに、決して、食べることはできない。
それは風景に溶け込むように、そこにあるのがまるで当たり前のように、むしろ『そうでなくてはならない』と言うように、空間に浮かぶパスタ。
普通の、おいしそうなパスタ。食べたくなってしまっても、仕方がない。
だから飲み込まれてしまうのも仕方がない。
その領域に入るとき、最初に君は『パスタ』に恐怖を抱き、心もしくは体の強い人間であればそれでも冷静に逃げるべきだと判断するだろう。
パスタは決して食べることのできない1品の。いいや、近寄ることだって恐ろしいものだ。…立ち向かうとあれば、蛮勇や狂気と呼ばれる感情を抱かねばならない。
それはパスタの持つとてつもない『違和感』。無力感や絶望と言ってもいい。しかしそれを感じたときはもう、立ち向かわざるを得ないのである。
その感情を沸き立たせるのは違和感だけではない。それは周囲の様相をだんだんと変貌させる。
パスタと自分自身以外の姿はだんだんと変わっていく。よりグロテスクに、よりトラウマチックに。君と共にいるその人だって例外ではない。
肉のぐちゃぐちゃと混ざり合うような音や、妙にぶよぶよと水気を帯びた地面。匂いや空気の味だって気分を害するものに。五感から、変わる姿は襲いかかるだろう。
パスタへ近寄れば近寄るほどに絶望は深まり、無力感はより膨大なものになる。
それに呼応して、周囲もさらに君の心を引き裂くように変化していく。
逃れることはできない、君はその『噂話』の中にいるのだ。
そこにいる限り永遠に味わわねばならない絶望と無力感に、目の前のおいしそうな一品のパスタ。
それは着実に心を削る。行動はそれぞれ2回までだ。心の強い者には3回行動ができるだろう。それを越えると、『眠り』に就かされるか、もしくは化け物の姿の相方と殺し合ってしまう。
風の噂は君の知人へ届き、そうして悪循環を生んでいく。『知ってはならない』。『見てはならない』。パスタは噂に追従する。
だってそれは、おいしそうな一品のパスタ。
クリーピーパスタ(都市伝説)、なのだから。
…この前提より、討伐の条件を記載する。
まずはその絶望に負けないことだ。絶望しながらも、それに勝ち筋を見いだすことだ。
行動するのだ。
そのパスタに傷をつけること。あるいは生物がパスタに一瞬でも触れること。
そうすれば、金切り声を上げて消え去ってしまう。パスタの正体は『噂話』そのものだ。どこからともなく噂を垂れる、姿無く垂れる噂そのものだ。つまるところ、人の好奇心と恐怖を形にしたものである。
そのため、『噂』が『実在するもの』に触れることで、ようやくパスタは、あくまで『言葉』に戻るのである。
心を強く持つのだ。飲み込まれては、ならない。
~~~調査報酬~~~
Version.1:関係者の侵蝕を1上昇させる
Version.2:関係者の追憶を1上昇させる
Version.3:関係者の追憶を1上昇させる
Version.4:関係者の侵蝕を3上昇させる
Version.5:研究データ【2010】解放