~~~討伐条件~~~
華麗なる大円舞曲が、楽しげにやってくる。絶望を掬いにやってくる。その魂を掬いにやってくる。
決してそれは救いではない。そのことを、覚えておきたまえ。…どれだけ世に疲れていても、世に病んでいても、逃げ道を探してはならないのだ。
それは向き合うべきものだ、そうだろう?…罹患者に、語り続けてくれ。それは逃げ道などではない、眠れない死者をただ増やすだけなのだ。
孤独な赤子を、ただ増やすだけなのだ。
それはオルゴール。
そのオルゴールは、十数秒の間勝手にねじが回り、『華麗なる大円舞曲』が鳴り響く。『ピアノの音』で、そして『ループせずに』。
そしてその音楽は、『罹患者』にしか聞こえない異常性を保有している。
ただ絶望の底にあり、逃げたいと思うことで罹患する、一種の精神障害のようなものだ。現れるときは一瞬である。
それは人の心を宿主として種を存続させんとする女王である。奴自身が絶望へ引きずり下ろす力は持っていないが、まるでハイエナのように、抜け殻になりかけた生物に種を植え付けるのである。
触れてはならない。心地よい感覚は、そのピアノが鳴り止むまで全身に淫らに流れ続ける。だが終わりを告げるそのとき、酔いは胎内を侵し蝕むのだ。
侵蝕が8上昇し、研究データ【1010】に該当する情報を、知らざるを得なくなる。
また、調査により侵蝕が上限を越えた場合も同様だ。
その調査はオルゴールが残していく白い破片のパズルを組み合わせることで進む。
白い破片自体は大量に回収されているため、出会わなくとも調査自体は進めることができる。…だが、調査を完遂したからと言えど女王の訪れを拒むことはできない。
それはただ、女王がヒトの心に植え付ける、病のようなものだから。
オルゴールは、我が子を探している。
~~~調査報酬~~~
Version.1:関係者の侵蝕を3上昇させる
Version.2:関係者の侵蝕を3上昇させる
Version.3:関係者の侵蝕を3上昇させる
Version.4:関係者の侵蝕を5上昇させる
Version.5:研究データ【1010】解放
【報告書】Version.1 01/20
【調査員】コール・フロム・ザ・メトロデッド、レイ・ラベット
【記録員】アルマデル第八支部6番小隊所属 レイ・ラベット
__調査報告________
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(メランコリックに引き続き)
それから、もうひとつほうこくします。
ぼく、しんじゃうかもっておもったときに、オルゴールのおとをききました。
そこにないのに、オルゴールがいつのまにかあって、そこからピアノのおとがきこえました。
それはこのカミサマだって、コールさんがおしえてくれました。
ぼく、なんだかそのままカミサマになっちゃうんじゃないかって。
こわくてこわくて、たまらなかったんです。
ほんとうに、ぼくがぼくじゃなくなっちゃうみたいでした。
オルゴールは、こわせなかった、みたいです。
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遭遇者:レイ・ラベット、コール・フロム・ザ・メトロデット
遭遇者の証言によるところ、オルゴールそのものが危害を加えることはなかったものの
著しい侵蝕を受けたとのことでした。
の聞き取り、レポートの作成提出は前任者デボラが行いました。
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