~~~討伐条件~~~
泣き声は予兆。赤子のそれを聞いたとき、君は立ち塞がる瞳に戦慄するだろう。
瞳は君の中に泣き声を宿す。口を持たず、ろくに声もあげられない、ろくに笑うことすらできない、奴のただひとつのぐずり方だ。
消えた町で、奴は泣いている。
しかし浴びすぎてはならない。…それは君の心を蝕むだろう。
未完成のまま生まれた、欠陥だらけの肉体を持つ人型のカミサマである。
特に右半身は大量の穴が空いており、その他にも全体的にいびつな出っ張りが無数に生えている。
だがやはり最も大きく歪んでいるのは、両腕とその尾だ。
右腕は鋭い足先を持つくるぶしまで伸びた3本の異形となり、左脇、右脇腹、尾にも小振りだが同様のものがある。
左腕は瞳にのまれて欠け、代わりに断面に大量の指がざわめくおぞましい姿となった。
しかしその故か、ひとつひとつの行動は鈍く遅く乱雑だ。避けることは簡単だろう。
けれどそれも、微睡みの中にあるのみ。涙の流れるその時、奴のあてなき怒りは爆発する。それは突然のことである。統計によると、1/3。しかしそれでも、その瞬間がいつ訪れるかは誰にも読むことができない。それこそ赤子の涙と言うものだ。
殺害は不可能である。だが、採取は可能だ。研究段階を進めるためには、戦闘不能にし、赤く輝く瞳の欠片をいくつか採取すること。
採取後は1日1回1d10を降り、3以下が出た場合、もしくはもう一度戦闘し、採取を行うことで研究を進められる。
瞳を見たとき、その声は脳裏に植え付けられる。耐える声が、はち切れんばかりの声が。
それは1度の行動につき1つライセンスを『子守』に変え、討伐するまで戻らない。逃亡したとしても戻らないのだ。
それこそが合図。僅かながらの涙がその地に落ちたとき、赤子の泣き声に命はすべて奪われる。
アスファルトから覗く芽吹きさえ、柔らかい土さえ、流れる水さえ、糸を張る蟲さえ、空を往く鳥さえ、命を繋ぐそれを、全て灰に帰す。
泣き叫ぶ声は空気に及ぼす波。触れればただ死に行く。あっけなく、一言をも残すことはできず。
涙の流れる確率も、1/3だ。
波を防ぐほど大きく空気を動かしたり、波をかわす術を持ったり、単純に建物の影に隠れることでも回避可能である。とにかく、波に直接触れないことが重要だ。
しかし微睡む瞳はイーコールの塊であり奴の核でもある。その力によって保護されているが、涙を流すそれは怒りのあまり制御不可能となり、防ぐ力を消滅させる。
暴れまわり揺れ動く核を狙うのは、熟練の技もしくは視線を引き付ける何かがない限りは至難を極めるだろう。
その中で3度、違った手段を用いて損傷を与えること。同じ手を食わない、厄介な手合いだ。
声と共に乱雑さはより深まり、だが鋭利に俊敏に威力を増す。それは乱雑さを『技』へと様変わりさせる、血濡れた怒りだ。
持つのは物理的な損傷を防ぐライセンス、能力があって10回、無くて3回の行動まで。
途中で防ぐライセンスが消滅した場合、隙を突かれてしまうだろう。その場でできる行動は1回限りだ。
奴は生まれた町を滅ぼしながら泣きわめいている。哀れなものだ、母を探すのだろうか。見つかるはずもないのに。
身は死に、女王はもはや奴の元には現れないのに。
ああ、哀れな赤子を、せめて君たちの手であやしてやってくれ。
~~~調査報酬~~~
Version.1:関係者の追憶を1上昇させる
Version.2:関係者の侵蝕を1上昇させる
Version.3:関係者の侵蝕を1上昇させる
Version.4:関係者の侵蝕を1上昇させる
Version.5:研究データ【1000】解放